業務の依頼を受け、顧客が見積もり額に納得した後、顧客との間で締結する書面が『行政書士業務委託契約書』です。
これは文字通り、行政書士が業務を受託するにあたって顧客と結ぶ契約書です。
これは業務上のトラブルや報酬に関するトラブルなどを未然に防止する役割がある、非常に大事な契約書です。
私たち行政書士は法的効力が生じる書類作成の専門家でもあります。
自らのビジネスに関する契約書くらいきちんと取り交わせないようでは、予防法務のプロとして失格です。
しかし意外とこうした契約書をきちんと交わさないまま業務に着手してしまう、という行政書士も少なくありません。
行政書士業務委託契約書の内容は
行政書士業務委託契約書に盛り込むべき内容は、主に以下のような項目です。
- 業務の委任および受任の内容
- 受任業務の処理方法
- 委任者および受任者の責務など
- 着手金および必要経費について
- 報酬の支払い・請求など
- 契約解除の要件など
- その他、業務によって必要な項目
つまり行政書士業務委託契約書というのは、業務に着手する前に委任者(顧客)と報酬などについてきちんと約束しておくための文書なのです。
先述の通り私たち行政書士は契約書を含む書類作成の専門家です。
またトラブルを未然に防止する予防法務の専門家でもあります。
この程度の内容の契約書をささっと作成できないようでは、はっきり言って行政書士として仕事になりません。
もし新人行政書士の方で、この行政書士業務委託契約書をまだ作成していないという場合にには、業務の第一歩として書式を必ず作成しておきましょう。
単位会によってはHPからダウンロードも可能
本来ならこの程度の内容の契約書式は、新人行政書士であっても今後の勉強のために自分で一から作成すべきだと思います。記載する内容も決して複雑ではありません。
ただ単位会によっては親切なことに、ホームページから書式がダウンロード等できる場合もあります。
ちなみに私が所属する埼玉県行政書士会のホームページの会員ページ(ログインする必要があります)にも、行政書士業務委託契約書のひな形が掲載されています。
もし埼玉県行政書士会に所属している方は、必要であればログインして参照してみてください。
どうしても自分で作成する自信がない(そもそもこういう方はまず行政書士としての資質が問われますが)、一から作るのが面倒という方は、こうしたひな形を利用するのもよいでしょう。
ただしあくまでもひな形ですから、契約上で必要な項目を付け加えたり、不要な部分を削除するなどの編集作業や確認は当然ながら必要です。
報酬額のトラブルが一番厄介なこと
顧客とのトラブルで多いのは、やはり報酬額に関することです。
いざ報酬を支払うという段階になると、値引きなどを要求するような顧客も少なからずいます。
報酬をめぐるトラブルというのはとても厄介ですから、法人・個人を問わず顧客とは必ず事前に行政書士業務委託契約書をしっかり締結し、報酬額などを明確に取り決めておきましょう。
口を酸っぱくして何度も繰り返しますが、私たち行政書士は書類作成の専門家であり予防法務の専門家でもあります。
顧客のトラブル予防だけでなく、まずは自らのリスク管理を徹底しなければなりません。
自分が集中して仕事に取り組める環境をつくるためにも、こうした基本的な部分をしっかりしておくことがとても大事です。
これはプロとして当たり前のことであると再認識しましょう。