開業当初から事務所を借りるとなると敷金や礼金(場合によっては保証金)、当面の家賃なども確保しておかなければなりません。
開業資金が潤沢にあるのであれば最初から事務所を借りることはできるでしょう。
そのため開業当初からできるだけ家賃や光熱費などの固定費をかけないよう、自宅事務所を選択する方も少なくありません。
私自身も開業時からしばらくは自宅事務所でした。
では行政書士が自宅開業するメリット・デメリットを少し考えてみましょう。
行政書士が自宅開業するメリット
自宅事務所の最大のメリットは、やはり賃貸料が一切かからないことです。
開業時に顧客がまだいない状態で固定費となってくる事務所を借りるというのは、想像以上に大変です。
事務所を借りるとなれば前述のとおり、敷金や礼金(場合によっては保証金など)、また当面の家賃も用意しなければなりません。
また光熱費などの固定費も出ていきます。
開業資金に余裕がない場合には、迷わず自宅事務所を選択しましょう。
自宅事務所のもうひとつのメリット
自宅事務所のもう一つのメリットは通勤時間がゼロである点です。
開業当初は事務所運営も一人でこなさなければならず、また実務経験もそれほどありません。
そのためいざ仕事が入ると、どうしても時間に追われてしまい遅くまで作業しなければならないことも出てきます。
しかし自宅事務所であれば通勤時間がありませんから、遅くまでの作業でも比較的安心して行うことができます。
なお自宅事務所だと顧客が足を運びにくいのでは、と心配する方もいるかもしれません。
しかし行う業務分野にもよりますが行政書士実務では通常、顧客のところに出向くことの方が多くなります。
ですからこの点についてはそれほど心配しなくても大丈夫かもしれません。
行政書士が自宅開業するデメリット
自宅事務所のデメリットとしては、自宅の一室を事務所として確保しなければならないことがまず挙げられます。
行政書士は法律で厳しい守秘義務が課せられています。
そのため生活スペースとは完全に独立した一室が必要です。その点は登録後の事務所調査でもチェックされます。
アパートなどで家族との生活スペースと事務所として使う部屋がつながっていて独立していないような場合には、基本的に事務所として使用することはできません。
また自宅がマンションやアパートの場合、事務所の看板を取り付けることができないことがほとんどです。
ですから顧客が来所する際に場所が分かりにくい、という点があります。
さらにマンションなどの集合住宅で、住居用のみと管理規約や賃貸借契約書などで規定されている場合には、そもそも事務所として使うことはできませんので注意しましょう。
将来的には事務所を借りる方向で
ただスタート時は自宅事務所であっても、将来的には事務所を借りる方がメリットが大きくなります。
やはり自宅事務所というのは、どうしても生活感が出てしまう面もあるからです。
また自宅事務所というのは、どうしても仕事のメリハリがつけにくいところがあります。
そういう意味では仕事をするための独立した事務所があることで、自分の事務所を維持するという、いい意味での緊張感とモチベーションを保つことができます。
事務所の経費管理という点でも、自宅事務所の場合は日常生活に必要なものと事務所の経費を分けなければなりません。
特に確定申告などで事務所経費を算出するのが面倒ということもあります。
どの時点で事務所を借りるのかは、地域の家賃相場や生活費がどの程度必要なのかなどによって異なります。
売り上げが想定家賃などの固定費を差し引いてもプラスになるようであれば、事務所を借りる方向で検討することをお勧めします。
ちなみに士業は家主さんからの信用度が想像以上に高いので、事務所を借りやすいということもメリットのひとつです。
そういったメリットも生かしてよい物件を探してみましょう。