開業当初というのは、とにかく仕事をとるために活動しなければなりませんが、仕事がある程度軌道に乗ってくると、必ずある壁に突き当たります。
多くの行政書士は、最初から補助者や従業員を雇えるわけではありません。
ですから、当面は一人で行政書士業務はもちろん、事務所運営のすべてをこなしていくことになります。
そこで問題になってくるのは、自分のキャパシティを超えるような仕事量になってきたら、どのように対処するのか、という点です。
一人でこなせる仕事量には限界があるからこそ効率化が大事
行政書士の仕事というのは、自分の時間を切り売りして行うビジネスです。
そのため、一人でこなせる仕事量というのには必ず限界があります。どんなに長く働いても一日は24時間ですから、それ以上は働くことができません。
そこまで極端ではなくても、目の前の仕事に追われて一日が終わってしまうといったスタイルをそのまま続けているとどうなるでしょう。
忙しいのに利益が出ないばかりか、心身ともに疲弊するだけになってしまいます。
そこで考えていかなければならないのは、業務の効率化とアウトソーシング化です。
業務の効率化に成功すれば売上も利益も伸びる
業務を効率化するためには、やはり業務を専門特化することが重要です。
まず業務を専門特化することで、ルーチンワーク化できる部分が増えてきます。そして、同じような案件であれば効率的に仕事ができることになります。
専門特化した業務以外の仕事については、他の行政書士事務所や他士業と協力してアウトソーシング化を図るなり、補助者を雇うといったことも検討します。
また、市場が飽和状態でダンピング合戦の激しい分野については、情報商材やキットを作成して販売してしまうというのも一つの手段として考えられます。
そうした流れをうまく作り出し、まずは一人で事務所運営をしていても、結果として売上も利益も上がる、という好循環が生まれるのを目標とするのです。
業務の効率化も仕事がなければ意味がありません
なお、こうした方策をとる必要があるのは、当然ですが自分のキャパシティを超えるような状況になってからの話です。
開業間もない新人行政書士は、とにかく業務経験をできるだけ多く積むことに専念しなければなりません。
新人行政書士は、とにかくできる仕事は何でもやるべきであり、どんどん営業して顧客を増やし、忙しくなることが必要です。仕事がないのに効率化も何もないので。
そうした経験を十分に積んで必要性を感じてから、業務を特化して効率化やアウトソーシング化などを考えていくことになります。
仕事が増えれば必要性を感じてくるはず
まだ目の前の仕事に悪戦苦闘している業務経験の浅い新人行政書士にとっては、少しイメージしにくい話かもしれません。
しかし、経営者としてやるべきことをしっかりやり、業務をどんどん受注できるようになれば、すぐにそうした必要性を感じてくるようになります。
本来は専門職として自己研鑽もしなければならないのに、いつまでも毎日とにかく業務に追われるばかりでその時間もとれないというのでは、かえって経営に支障が出てきてしまいます。
プロとして必要なスキルをしっかりと身につけるためにも、業務の効率化というのは重要なことなのです。
一般の企業であっても、利益を出すために業務の効率化やコストダウン、アウトソーシング化などに日々力を入れています。
行政書士も経営者として、いずれはそうした点を追求していく必要があることを心得ておきましょう。