行政書士の仕事というのは、基本的に書類の作成や手続き、提出代行であったり、業種によっては各種のコンサルティングといった業務もあります。
行政書士としての資格で行える仕事は非常に多いのですが、行政書士業務を入口として、さらに顧客に対するサービスを追及できないか、という視点をもつことも、経営者として大切なことです。
サービス業として、顧客の要望にできる限り応えていくことができる行政書士になることは、これからの事務所経営においては重要です。
つまり、単なる行政書士業務にとらわれないサービスを提供できないかを考えてみるのです。
狭い入口から顧客サービスにつなげる
例えば、顧客がホームページ制作やシステムの構築などで困っていたら、その分野に詳しい人であれば、アドバイスやお手伝いができるかもしれません。
また、人事などの経験があるのであれば、人材の採用に関するアドバイスやコンサルティングができるでしょう。
こうした仕事というのは、本来の行政書士業務ではありませんが、行政書士業務という狭い入口から入り、他にも様々な形で顧客サービスを行うことが可能な場合があるのです。
そして、ときには顧客から行政書士業務ではない案件が持ち込まれることもあります。しかし、行政書士もサービス業ですから、顧客の要望にできる限り応えていくことも必要です。
とりあえず何か困ったことがあれば、あの行政書士に相談すれば何とかしてくれる、と思われるような存在を目指すのです。
顧客の要望に応えるための人脈づくりを
ただ、案件の内容によっては、顧客の要望にすべて応えられるとは限りません。そこで重要になるのは、あらゆる方面の広い人脈です。
他士業はもちろんのこと、あらゆる業界との人脈を形成しておくことが重要です。
行政書士の直接の業務につながるような人脈も大切です。ただ、直接には関係ない業界の人脈であっても、それを大事にしていくことで、いざという時の助けになるかもしれないのです。
実際、私の経験の中では、顧客との話の中で、英会話を習いたいという話題が出て、たまたま知り合っていた英会話講師を私が紹介したこともありました。
また、遺品の整理で困っている顧客に対しては、その前に知り合っていた遺品整理の業者さんを紹介したこともあります。
行政書士業務というのは、スポット案件が多いのも特徴なのですが、そうした狭くて小さな入口からでも、最終的な出口で顧客の様々なニーズを満たせる可能性があるのです。
付加価値で価格競争とは無縁の仕事を
こうして広い顧客サービス、付加価値を充実させていけば、頼られる存在として価格競争などとはまったく無縁の仕事ができるようになります。
最終的な成果物、例えば許認可がとれるかどうかというのは、要件さえ整っていれば仕事のプロセスはともかく、どの行政書士が行っても同じ結果となります。
そして単に『許認可申請を代行してくれる人』というポジションのままでは、価格競争に参戦せざるを得なくなります。成果物が同じであれば、安い方に流れていくのは当然の市場原理ですので。
そこで重要となるのが『付加価値をつけて仕事の価値を上げる』という経営手法なのです。
コミュニケーションスキルを高めて顧客との距離を縮める
また、顧客との雑談で距離を縮め、その中で、他にも困っていることを聞き出してみたりすることも有効な手段でしょう。
行政書士は客商売ですから、やはり顧客とのコミュニケーションスキルというのも大事です。信頼関係を築くことも、いわば付加価値につながるといえるでしょう。
行政書士としての仕事だけに縛られることなく、顧客にさらに満足してもらえるサービスを提供できる、頼られる存在を目指してみましょう。
一人ひとりの顧客との信頼関係がしっかりと構築されれば、おのずと利益の出せる仕事も増えていきます。