行政書士事務所を開業するにあたっては最低限、行政書士会への登録費用、オフィス家具(鍵付きの書庫)、電話やインターネット設備、パソコンなどが必要となります。
せっかく独立開業したのですから、やっぱり事務所は事務所らしい環境にしたいものです。
事務所に来所する顧客の印象もだいぶ違ってくるでしょう。
行政書士として開業するために必要な費用については、立地条件など状況によってかなりの個人差があります。
開業資金は潤沢であることに越したことはありませんが、これだけは必要、揃えておきたいといったものを少し挙げてみます。
行政書士事務所開業に必要な費用・備品など
行政書士事務所の開業にあたっては最低限、主に以下のような費用、備品、設備等が必要です。
行政書士会への登録費用
行政書士となるためには、行政書士会への登録が必要です。
試験に合格しただけでは行政書士を名乗ることはできません。
行政書士の登録費用は所属する都道府県により若干異なりますが、登録料や入会金のほか、職印や戸籍謄本などの書類取得を含めた諸経費で約35万円ほどになるでしょうか。
オフィス家具などの備品
机や椅子、書籍や書類などを保管する本棚や書庫などが必要です。
このあたりは購入方法などによって差が出てきます。
おおむね机と椅子で約3万円、本棚が約1万円、書庫が約2万円で、合計約6万円程度と見積もっておけばよいと思います(ここも購入方法次第でもっと費用は抑えられます)。
なお、机や椅子は一般的な家庭用のものではなく、できれば事務用のものを選びましょう。これだけでもかなり見た目が事務所らしくなります。
また行政書士の仕事は個人情報や機密情報を多く扱うことから、必ず鍵のかけられる書庫を選んでください。
こうした書類などを、簡単に人の目に触れるような場所に保管するのは、法律で厳しい守秘義務が課せられている行政書士として論外です。
通信機器・設備など
通信機器としては最低限、固定電話とFAX、携帯電話は必須です。
FAXは以前よりも使用頻度は減りましたが、顧客や役所によってはまだまだFAXでのやり取りということも少なくありません。
特に自宅開業の場合、自宅の電話回線と事務所の電話回線は分け、依頼人に失礼のないようにしなければならないでしょう。
また携帯電話は通話料金を経費計上する関係上、できればプライベート用と仕事用を分けて所有することをお勧めします。
パソコンとインターネット回線、プリンターの選び方
そしてパソコンとインターネット回線、プリンターも必要となります。
パソコンが約10万円、インターネット回線の導入が約1万円、各種ソフトウェアが約7万円、プリンターが約4万円で、合計約22万円程度になるでしょうか。
このあたりに関しては、例えば最初はFAXとプリンター、コピー機などが一体化している小型の複合機にするなどすれば、もう少しコストは抑えられるかもしれません。
パソコンもメーカーや機種によって、もっと安く導入できるでしょう。
ただ業務効率を考慮すると、パソコンはある程度高スペックのものを購入した方が快適です。
なおプリンターに関しては、一般的なA4サイズのものではなく、A3サイズが印刷できるものを選ぶことをお勧めします。
なぜかというと、定款や契約書などは見開きで作成しなければならないためです。
ちなみに裏技としてA4でプリントアウトし、コンビニなどのコピー機で2枚を並べてA3で印刷するという方法もありますが、これはかなり手間がかかります。
当面の生活費
この点が最も大切な点ですが、開業してからの当面の生活費は必ず用意しておきましょう。
生活ができなければ行政書士を続けることもできません。
これも家族構成などの事情によりかなり個人差はありますが、一般的な家庭の生活費が月に約30万円として最低6か月分、約180万円ほどは確保しておくと安心です。
もっとも開業当初からコネがあって継続的な仕事が入ってくる見込みがある方は、それほどの金額は必要ないでしょう。
その他の費用経費
開業時から事務所を借りるのであれば、事務所の敷金や礼金などが必要です。
この場合は生活費と同様に、当面の事務所家賃、光熱費なども確保しておかなければなりません。
また行政書士登録した後には、年間6万円(半年ごとに3万円の分納)の会費を支払わなければなりませんので、その点も考慮します。
開業する地域や立地によっては、移動手段として車などが必要となる場合もあるでしょう。
必要なものは最初からきちんと揃えておきましょう
上記は開業費用に関する、ざっくりとした一例です。
人によってはもっと費用が必要であったり、逆にコネなどを使って安くすることもできるでしょう。
開業時はできれば出費を抑えたいと考えがちですが、仕事をする上で最低限のものは揃えておかないと、業務効率に支障が出てしまいます。
その結果、余計な時間やお金を使うことになってしまったり、顧客に迷惑をかけるようなことになっては本末転倒です。
もちろん例えばオフィス家具などは中古で済ますなど、購入方法によって費用を抑えることはまったく問題ありません。実際、私もオフィス家具の一部は割安な中古で購入しました。
要は費用を抑えられるところ、費用をかけなければならないところをはっきりさせるのが重要ということです。
パソコンやプリンター類といったものはセキュリティや耐久性などを考慮すると、やはり中古で購入するのは避けた方が無難です。
開業したらいつでも仕事ができるよう、最低限の準備は整えておくようにしましょう。