行政書士で開業し、仕事を行っていくにあたっては、開業当初から事務所に備えておかなければならない備品などがあります。
事務所というからには、やはりそれなりの見栄えというのも重要です。
行政書士も法律専門職ですから、来客時などに恥ずかしくない程度のもの、守秘義務を考慮した備品などは最初から備えておくことが大切です。
業歴を重ねてくるにつれて、これがなければ仕事にならないというものは増えていくものですが、開業当初から最低限必要となる備品などはきちんと用意しておくべきです。
開業当初から事務所に最低限備えておくべきものは?
行う業務内容などによって必要なものは多少異なることがありますが、まずは最低限、行政書士事務所としてこれくらいは用意しておきたい、というものを挙げておきます。
机と椅子・来客用テーブル・ソファー類
行政書士が仕事をするにあたっては、やはり机と椅子は必需品といえます。
それほど高価なものでなくても構いませんが一般用の安価な机ではなく、事務用の机が機能的で便利です。
事務用の机があるだけで見た目も事務所らしくなります。
事務用の机に関しては、特にこだわりがないのであれば中古のものを探して安く購入しても問題はないと思います。
ただし、あまりにボロボロなものでは困りますが。
椅子に関しては好みです。長時間作業しても疲れにくい、機能性に優れた少し高価なものもありますので、そこは予算と相談して選択すればいいでしょう。
また、事務所のスペースなどによって置くことができるものを選べばよいですが、来客用のテーブルや椅子、ソファーなども最初から用意しておくといいかもしれません。
電話回線とFAX回線
電話回線は事業を営む事務所として当然必要です。
自宅事務所の方も、顧客に失礼のないように専用の電話回線を別途ひくようにしましょう。
今はメールなどでのやり取りが多くなってきましたが、まだまだFAXを利用している顧客や役所も多いため、FAX回線も必要です。
FAXは電話回線と併用ではなく、専用の回線(FAX番号)を用意します。
なお、電話回線やFAX回線を低コストで導入するには、NTTなどの光でんわ回線が便利です。
通話料も安く、FAX用の番号を別途取得してもオプション料金が低額なので、初期費用を抑えたいという場合にはこれを利用してもいいでしょう。
ただし光でんわで発番した電話番号は、将来的に事務所を移転するといった際には使えなくなる(電話番号が変わる)場合があるので、その点は注意する必要があります。
インターネット回線(ブロードバンド回線)
行政書士が仕事を行うにあたっては、今やインターネットを利用する機会が頻繁にあります。
また、申請書類のダウンロードや電子申請、情報収集などにも必須となります。
電話回線をひかり電話などで利用する際にもインターネット回線は必要です。
インターネット回線は仕事効率を上げるためにも、通信速度が高速な光回線を導入するようにしてください。
Wi-Fiルーターを使うことで、複数台の端末を接続することもできます。
開業当初から事務所を借りる場合には、まず光回線を入れられるかどうかをチェックしておきましょう。特に古い建物などは光回線が導入できない場合もあります。
プリンター(複合機)
行政書士に限らずですが、士業は大量の書類を取り扱う機会が多いので、プリンターや複合機も備品として必須です。
コピーやスキャンを行うことも多いため、プリンター単体ではなく複合機があると便利です。FAX機能がついていればそれを利用することもできます。
なお、定款や契約書などは見開きで作成しなければなりませんので、できればA3対応のものが用意できればベストです。
将来的には業務用の大型複合機が必要になってきますが、開業当初は市販の複合機などで十分だと思います。
今はこうした機器も高性能なものが安価で購入できますので、必ず用意しておきましょう。
パソコン(できるだけ高性能なもの)
業務処理において、今はパソコンが必需品です。
昔は紙と鉛筆があれば開業できる、などと言われていた時代もありましたが、当然今はそういうわけにはいきません。
今の行政書士業務はパソコンがなければまったくと言っていいほど仕事ができませんので、仕事専用のものを必ず用意しましょう。
パソコンのスペックは、WordやExcelなどが問題なく動くくらいのものでも使えます。
ただ作業効率を高めるためには、できればここはコストをかけて高性能なものを購入した方がいいかもしれません。
またパソコンは精密機器ですから、ある日突然壊れることもあります。
大事なデータを守るためにも、バックアップ用のハードディスクやSSDといったものも必ず用意しておきましょう。
鍵付きの書庫・本棚
行政書士は法律専門職ですから、様々な専門書や資料を読み込む必要があります。
そうした書籍や資料を保管するための書庫や本棚も必要です。
また行政書士は法律で守秘義務が課せられています。
顧客の個人情報や機密情報などを保管しておく際には、必ず鍵付きの書庫を用意するようにしてください。
表札(できれば看板も)
行政書士事務所は表札を掲げることが義務になっています。
どのような表札がよいのかは、事務所の形態(戸建かマンションなのか)によって異なりますが、最低限、ポストやドアには事務所の表札を取り付けるようにしましょう。
そして看板が設置できれば、さらにベターです。
携帯電話への転送オプション
開業当初から電話番の事務員などを雇うことができれば不要ですが、多くの方は一人ですべての業務をこなすことになると思います。
そのため事務所にかかってきた電話を外出先でも受けることができるよう、携帯電話への転送オプションを契約することが必要です。
また頻繁に電話がかかってくるようになると、電話に出られない場面も多々でてきます。
機会損失をできる限り少なくするために、秘書代行サービスなどを利用することも検討しましょう。
名刺
名刺は言うまでもなくビジネスマンとして必須のアイテムです。
登録したらすぐに名刺を作成するようにしましょう。
名刺は自分で作成することもできますが、ある程度のクオリティがあった方がよいものなので、ここは外注で作成することをお勧めします。
今はクオリティの高いものがインターネットでも安価で作成することができますので、そういったサービスを利用してもよいと思います。
六法全書や業務に関連する書籍などの資料
行政書士も法律家を名乗る以上、六法全書を使いこなすことも必要なスキルです。
今はインターネット上で法令検索システムなどが使えますが、慣れてしまえば六法で調べた方が早いです。
行政書士は様々な法令を調べる必要がありますので、これは開業当初からしっかりと用意しておきましょう。
また、少なくとも行政書士の主要業務についての実務知識を得ておくことも必要です。実務知識が乏しいようでは仕事になりません。
見込み客からの問い合わせに対応できるようにしておくためにも、資料となる書籍にはどんどん投資して、実務知識を得るための自己研鑽も怠らないことが重要です。
必要なものは最初からきちんと用意する
とりあえず開業当初に最低限、必要となるものを挙げてみましたが、これから仕事を行っていくうちに必要なもの、業務効率を上げるためのものはどんどん増えていくはずです。
もちろん、開業資金は潤沢であることに越したことはありません。
それでも一般的な起業に比べれば、最初からそれほど多くのものを用意する必要がない業態とも言えます。
上記のものをすべて揃えても、たかが数十万円程度ですからね。
行政書士は最初から事業資金の借り入れが必須というわけでもありませんし、在庫を抱えるような商売ではありませんので、開業の初期投資などたかが知れています。
仕事に必要なものは最初からきちんと揃え、いつでも仕事が受けられる体制を整えておきましょう。