よく、行政書士試験は司法試験や司法書士試験、税理士試験などに比べて難易度が低いから馬鹿にされる、下にみられるというような話を聞きます(私はそのような経験はありませんが)。
確かに行政書士試験というのは、いわゆる士業の中では比較的ハードルの低い試験であることに間違いはありません(行政書士試験そのものが簡単、という意味ではありません。念のため)。
また世間一般では、行政書士と司法書士の違いも分かっていない方が大多数で、行政書士の仕事をきちんと理解している方はほとんどいないのも事実です。
では本当に行政書士というのは、他士業に比べて法律家として劣っているのでしょうか。
資格というのは単なる仕事のツールに過ぎない
まず行政書士試験が簡単だから食えないという話については、まったくの間違いです。
なぜなら行政書士で食べているどころか、行政書士専業でガンガン仕事して儲かっている人は世の中にたくさんいるからです。
単純明快な話ですね。
そもそも各士業は一部業務を除いて、行っている業務内容が全く異なります。
ですから他士業と比較すること自体、まず方向性が間違っています。
行政書士も他士業も商売であることに変わりはない
そして行政書士はもちろん、他士業も商売です。
弁護士だろうと司法書士だろうと行政書士だろうと、単純に商売がうまくできなければ容赦なく市場から淘汰されるのは一緒です。
商売の世界では資格の難易度なんてまったく関係ないことであり、商売人の価値は『どれだけ儲けているか』のただ一点のみです。
さらに言うと、資格というのは単に仕事をするうえでのツールに過ぎません。
ですから行政書士で食えるのか、他士業に比べて劣っているのでは、という議論自体がナンセンスな話なのです。
商売として、経営者として儲けるということは、士業であっても近所の商店であっても変わりはないのですから。
試験の難易度と経営者としての能力は違う
どれだけ難しい試験に合格できても、商売ができなければ食べていくことはできません。
つまりどの士業にも求められるのは、儲けることができる経営者としての能力です。
もっと言えば、仮に行政書士で開業して食べていけないのであれば、たとえ司法書士になっても弁護士になっても経営者としての能力がなければ同じことです。
経営者としての価値はどれだけ儲けているかの一点のみ
大事なことなので繰り返しますが、士業を含めた経営者の価値というのは『どれだけ儲けているか』のただ一点のみです。
そこには、資格の難易度なんてまったく関係ありません。
どの資格・士業であっても、お金を稼げない経営者にまったく価値はないのです。
行政書士も司法書士も弁護士も経営者としての立場はまったく対等であって、資格で差別されることではありません。
私自身も他士業の方と仕事をする際には同じ経営者同士、ビジネスパートナーという意識で対等に接しています。
そもそも、行政書士を下に見るような他士業の方とは一緒に仕事をすることはありません。
ちなみにこう言っては何ですが、そういう方は業界内でもあまり評判がよくないことが多いです。
行政書士の社会的ステータス向上のために
とはいえ、行政書士の社会的ステータスや業務の知名度というのは現状、決して高くはありません。
また、行政書士と司法書士の違いも分かっていない方も少なくありません。
行政書士の社会的ステータスをもっと向上させるためには、経営者としての能力と実務能力を磨き、一人でも多くの行政書士が経営者として成功することです。
ところが、残念ながら行政書士として開業しても仕事が十分になく儲からない、あるいは廃業してしまう方も少なくないのが実態です。
ただし、これは行政書士に限ったことではありません。もちろん他士業であっても同じです。
これから行政書士として開業する方、開業間もない方は、行政書士という資格を商売のツールとして最大限に生かし、経営者として儲けることに注力していきましょう。
肩書など関係なく、商売人はとにかく儲けた者勝ちなのですから。