行政書士会に登録書類を提出後、登録が完了する間に事務所調査というものがあります。
事務所調査とは、所属する行政書士会支部の支部長などが登録申請者の事務所に足を運び、その場所が事務所として適格なのか、などといった点を調査するものです。
支部長が事務所に来るということで、最初は緊張するかもしれません。
しかし事務所としての適格性さえ整っていれば何も問題はありません。
主に業務がきちんと行える環境かどうか、守秘義務などに関する問題点などがないか、などで特に大きな支障がなければ、よほどのことがない限り不許可になることはないでしょう。
事務所調査はリサーチのチャンス
逆にせっかくの機会なので、自分の開業する地域の特徴であったり、どのような仕事をしている行政書士が多いのかといった点を質問してみましょう。
ただし支部長というのはとても多忙ですから、かなり限られた時間での話になります。質問は最小限になるよう、事前に考えをまとめておくとよいでしょう。
特に自分の開業するエリア内にどれくらいの行政書士がいるのか、どのような業務を行っている行政書士が多いのかといった情報です。
これらの情報はこれから営業活動やマーケティングを行う上で重要なデータになります。
行政書士に限らず、商売を行っていくうえでマーケティングは基本中の基本ですからね。
自分が開業する地域の業務需要を探る
話を聞いてみて自分がメインに据えたい業務に競合が多いということは、少なくともそのエリアに需要があるということの証明にもなります。
むしろ競合がまったくいない場合は注意が必要かもしれません。
なぜなら競合がまったくいないということは、そのエリアにあまり業務の需要がないということも考えられるからです。
もっとも業務としての需要があっても、たまたま他の行政書士が手掛けていないということも往々にしてあります。
ここは今後の営業活動にも大きく影響する部分です。
特に自分がメインにしたい業務については、実際に先輩行政書士に聞いてみたり、同じ地域で開業している行政書士のホームページをチェックしてみるなど、慎重に検討していきましょう。
先輩行政書士の情報をあらかじめ聞いておく
また自分がメインに据えることを予定している業務と同じ業務を扱っている方がいたら、できれば具体的な事務所名などを聞いておくとよいでしょう。
開業時にそうした事務所へ挨拶に出向くなどして顔と名前を覚えておいてもらうと、いざという時にアドバイスをもらえたり、困ったときに助け舟を出してくれるような関係になれるかもしれません。
私の経験上、先輩行政書士の多くはそうした時に快く新人行政書士の力になってくれます。
実務で困ったことがあった時などには謙虚に相談すると、これまでの経験で培ってきたノウハウを色々と教えてくれることもあるでしょう。
先輩行政書士も今後は競合相手になります
ただし同じ業務を扱うということは、相手にとっても自分にとっても今後は競合相手ということになります。
もっと突き詰めて考えれば商売敵(しょうばいがたき)です。
新人だからといってあまり頻繁にノウハウを引き出そうとすると、かえって敬遠されるようになってしまいますので注意しましょう。
新人行政書士であっても、開業した時からは事務所の立派な経営者です。いつまでも先輩行政書士を頼るわけにはいきません。
先輩行政書士の様々なノウハウというのは大事な商品でもあります。
先輩行政書士を頼るのはあくまでも最終的な手段として、あまり頼りすぎないよう、常に自己研鑽を積んでいくことを心がけましょう。