行政書士として仕事をしていると、過去の顧客や他士業の方などから紹介案件が持ち込まれることがあります。
紹介案件というのは労せずして仕事になるうえに、『あの人が紹介してくれた行政書士なら』というように信用を借りることができます。
そして、労せずして確実に依頼までつながるという、とてもありがたいものです。
実は私の事務所では、この紹介での業務依頼が今は大半を占めています。
いわば『紹介モデル』ができつつあるところなのですが、そうした案件を増やすために様々な工夫や経営努力をしています。
そこで、私が紹介案件を増やすために心がけていること、行ってきたことの一部を紹介したいと思います。
小さなスポット案件でも決して手は抜かない
紹介案件を増やすためには、まず大前提として顧客や他士業からの信頼を得なければなりません。
たとえ小さなスポット案件であったとしても、決して手を抜くことなく、迅速かつ正確な仕事を積み上げていき、自分の仕事を評価してもらわなければなりません。
まずは信用を得ることが重要であり、それができなければその後の紹介なども期待できません。
そのためには、特に新人行政書士は24時間365日働くぐらいの気概が必要ですし、優良な人脈を築いていく努力もしなければなりません。
そして、新人行政書士の場合は闇雲に営業するよりも、最初の一件は自分のあらゆる人脈を使って紹介を得るのが最も近道と言えます。


もちろん、最初からそれだけでは経営が成り立ちませんので、営業活動や優良な人脈の構築も同時に行っていきながら、まずは経験と実績をつくることに全力を傾けていきましょう。
継続的に仕事を得るためにやったこと
行政書士業務というのは、他士業のように顧問契約などという形で顧客との継続的に付き合っていけるものが少ないのが特徴でもあり、事務所経営がなかなか安定しない要因でもあります。
最初から経営能力が高い行政書士であれば、新人行政書士であってもかなり早い段階で経営を安定させることができるでしょう。
しかし、私は経営のド素人からスタートしたので、開業から数年間はなかなか経営状況が安定しませんでした。
当時は少しでも経営状況を安定させる方法はないものかと、色々と試行錯誤したものです。
そこで、開業から数年が経ったころから、主に以下のようなことを行うようにしてみました。
名刺に紹介を促す文章を入れておく
行政書士に限らず、ビジネスマンは名刺交換を日常的に行っています。
そこで、顧客や顧客になりそうな方に渡す名刺に『よろしければ〇〇でお困りの方などをご紹介ください』といった文言を入れてみました。
ポイントは、ただ行政書士業務を羅列するのではなく、できるだけ業務内容を絞ってピンポイントに記載することです。
行政書士の仕事というのは、一般の方にほとんど知られていません。ですから、自分はこんな仕事ができますよ、という内容をわかりやすくピンポイントに記載するのです。
つい色々な業務内容を記載したくなりがちですが、小さな名刺のスペースは限られています。自分の得意分野をできる限り詳しくアピールしておいた方が顧客もわかりやすいのです。
実際、その名刺を見て顧客を紹介してもらったり、名刺を渡した方からの問い合わせもありましたので、効果はそれなりにあったと思います。
新人行政書士の方は、ぜひ自分がメインに行っていきたい業務などを紹介してほしい、といった文言を名刺に入れておくとよいでしょう。
業務を終えたら必ず礼状を出す
顧客への報告については、できれば業務を終えた報告を兼ねた礼状をきちんと出すことをお勧めします。
私は名刺の方法についてはもう行っていませんが、業務を終えたら礼状を出すことについては、今でも欠かさず行っています。
そして、その礼状の中にも、顧客を紹介してもらいたいといった文言は必ず入れるようにしています。これも名刺の場合と同様、できるだけ業務内容をピンポイントに絞ることが重要です。
丁寧な礼状をもらって迷惑がる人はまずいませんし、何より行政書士は書面作成のプロですから、きちんと書面で礼状は出しておきたいものです。
また、メールでの報告も併せて行っておくこともメリットがあります。なぜなら、メールは相手のパソコンにデータを残すことができるからです。
ですから、きちんと礼状を出すことと、メールでの報告や定期的なコンタクトを併せて行っておくと相乗効果が期待できるので、ぜひ新人行政書士の方も行ってみてください。
紹介案件を増やすことは事務所経営の安定につながる
上記の方法はほんの一例に過ぎませんが、紹介案件を増やしていくことは事務所経営の安定にもつながります。
これはマーケティングの常識ではありますが、新規顧客を獲得するためのコストや手間より、リピーターを獲得する方がはるかに低コストかつ効率的です。
さらに、すでに信用を得ている顧客や他士業からの紹介であれば、まず間違いなく受注までつながります。
特にスポット業務の多い行政書士にとっては、これがとても重要なことなのです。
また、紹介の紹介、といったように顧客が連鎖的に増えていくことも多々あります。
ただしWeb集客などよりは時間を要する方法です
紹介モデルの構築というのは、まず顧客からの信用を得てから効果が出てくる性質のものなので、Web集客(ある程度広告費を投入できれば集客できる)などよりも時間は要します。
私はアナログ営業が得意なので、Web集客にはそれほど力を入れているわけではありませんが、もし両方を同時に行っていけるのであれば理想的かもしれません。
もっとも、Web集客もコンテンツの充実によるSEO対策や広告費をかけていく必要があるので、決して簡単なものではありませんが。
紹介案件が継続的に入ってくるのはメリットが大きい
多少時間を要する手法ではありますが、紹介という仕組みがうまく回ってくると、継続的に仕事が入ってくることが期待できます。
そうして信用を積み重ねていくことで、中長期的な事務所経営の安定にもつながっていくのです。
そのためには、日ごろから優良な人脈の構築であったり、迅速で正確な仕事をするための自己研鑽というものが欠かせません。
新人行政書士の方はまず顧客の信用を得たうえで、事務所経営を軌道に乗せるために知恵を絞り、ぜひ優良な顧客を増やしていく努力をしていきましょう。
将来的なメリットはとても大きいと思いますよ。