行政書士も商売ですから、登録してただ待っていても、存在が誰にも知られていなければ当然仕事の依頼が来ることはありません。
どのように存在を知ってもらうかは様々な方法がありますが、営業方法のひとつとしてダイレクトメール(DM)は工夫と送付先次第では有効な方法となり得ます。
もっともDMはただ闇雲に送ってもまず効果は見込めません。
広告宣伝費が桁違いの大手企業であればともかく、開業したばかりの行政書士はターゲット層を明確にしたうえで、戦略的に広告宣伝を行っていく必要があります。
DMの反応率は高くないことを想定する
自宅に届く様々なDMなどで経験上わかると思いますが、多くのDMはほとんど読まれずにそのまま捨てられてしまいます。
ですから一般的なDMの返答率は、おおむね1パーセント未満と考えてよいでしょう。
まして行政書士はモノを売る商売ではありませんから、一般的なDMよりも少しハードルが高いかもしれません。
ただし開封率や返答率をできるだけ高くするための工夫を、ある程度行うことはできます。
DMの開封率や返答率を上げるための工夫や注意点としては、以下のようなことが考えられます。
内容は相手の目を引くメッセージを簡潔に
DMは最初にどれだけ相手の目を引くかが勝負です。
ここで関心をもたれなければ、すぐにゴミ箱やシュレッダー行きです。
例えばメッセージとして『無料相談受付中』など、相手のメリットとなるような言葉を目につくよう簡潔に書いておくことも効果的でしょう。
外観を広告らしくしないようにする
外観から広告だと分かると、やはりどうしても開封率は下がってしまいます。
できるだけオフィシャルな感じになるよう、外観はできるだけシンプルな方がよいでしょう。
中身の紙質は丈夫なものを
一般的なコピー用紙のようにペラペラの紙で作成するよりも、ある程度丈夫な紙質で作成することも大事なことです。
DMは送ってすぐに反応があるとは限りません。こちらも忘れたころに突然反応があることも多々あります。
ですから、保存性が高いように作成しておくことも工夫のひとつでしょう。
切手を貼る場合の工夫
もし切手を貼ってDMを送る場合には、一般的な切手よりも記念切手などを使用するのも目立つためのポイントです。
私も事務所に届くDMなどで、珍しい記念切手などが貼ってあるとつい見入ってしまいます。
細かいことではありますが、切手というのは意外と視覚に訴える効果が期待できます。
表書きや自分の氏名は手書きで
少しでも広告らしくならないようにするには、封筒の表書きなどは手書きの方が望ましいと思います。
部数が多くなると大変な作業になりますが、DMを読んでもらうには既製品や定型文のイメージではなく、手作り感を出すことで、宣伝臭さを少なくできます。
DMを送った理由やメリットを書く
万人向けの内容にならないよう、相手に対してなぜDMを送ったのか、といった内容も書き込んでおきましょう。
行政書士に仕事を依頼することで、相手にどのようなメリットがあるのかも書いておきます。
何らかの特典などをつける
やはり、何の特典もないDMというのはどうしても読まれにくいものです。
行政書士業務であれば、例えば無料相談であったり小冊子などをプレゼントする、といった内容が効果的かもしれません。
同業者などからのクレームも多い
DMについては、会社からのクレームはもちろんですが、すでに会社と関わっている行政書士などからのクレームが入ることもあります。
もちろん、同業者からのクレームは気にしないという強いメンタルがあればよいのですが、対応が面倒であれば他の営業方法を検討した方がよいかもしれません。
DMはただ闇雲に送っても効果は出ません
冒頭で述べた通り、DMはただ闇雲に送っても効果は期待できません。何の戦略もないまま続けていてもコストの垂れ流しになってしまいます。
自分の業務範囲、ビジネスと関係がありそうな相手をしっかりとピックアップし、ピンポイントでターゲットを絞って送ることが重要です。
ただし反応率や作業効率などを考慮すると、正直なところ新人行政書士にはあまりお勧めできる営業方法ではありません。
ポスティングチラシやFAXDMといった手法に比べると、送付する部数にもよりますがコストも高めとなります。


もしDMを有効活用したいのであれば、あまり同業者が目をつけないニッチな分野に絞って行うといった戦略も必要でしょう。