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行政書士の実務

ちょっとした気遣いで他士業からの信頼度をアップする

新人行政書士事務所の開業・運営・営業・実務マニュアル 行政書士の実務

行政書士業務を行っていると、他士業が行うべき部分に行き当たることも珍しくありません。

その部分は当然のことながら行政書士が行うことができませんので、他士業の方にお願いすることになります。

すでに良い関係を築いている方であれば、単に『丸投げ』というのも悪くはありません。

しかしこれから他士業との良好な関係を築きたいという新人行政書士の場合には、依頼する際に『ちょっとした気遣い』をしてみましょう。

そうした『ちょっとした気遣い』によって、他士業の方から『デキる行政書士だな』と思ってもらえることがあるのです。

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他士業の手間を省いてあげると喜ばれます

例えば私が専門に行っているのは相続や遺言書に関する仕事です。

相続財産の中に不動産があれば登記は司法書士、相続税の申告が必要であれば税理士などといった方々にその部分をお任せすることになります。

そこで行政書士の業務で必要であった戸籍などの添付書類だけではなく、他士業の方が必要とする書類についてもあらかじめ用意しておいてあげると、とても喜ばれます。

相続登記で必要となる書類もあらかじめ取得しておく

例えば相続に伴う不動産の変更登記を司法書士に依頼する際には、その不動産を受け継ぐ方の現住所を確認するための住民票や、被相続人の住民票の除票が添付書類として必要です。

しかし住民票や住民票の除票といった書類は、行政書士が一般的な相続に関する業務を行う際には特に必要のない書類です。

これをあらかじめ用意しておいてあげるだけで、司法書士の手間が省けます。

なぜなら登記申請を行う際に住民票がない場合、司法書士は職務上請求書を使って取り寄せることが多く、あらかじめ用意されていればその手間が省けることになるからです。

職務上請求書というのは、士業が職務上必要である範囲の住民票や戸籍などを職権で取得できるものです。

実際に使ってみると分かりますが、この作業というのは結構面倒なものなのです。

なお法定相続情報証明制度を利用するとさらに手間を省くことができます。
法定相続情報証明書の住所表示は任意記載事項なのですが、これを記載しておくと登記申請の際に被相続人の除票や相続人の住民票の添付が不要となるためです。

相続税申告が必要な場合も必要書類を取得しておく

また、相続に関する業務の中で、相続税申告などが必要なケースも多々あります。

相続税の申告においては、相続財産の中に金融機関の預貯金があれば被相続人が亡くなった時点の残高証明書が必要です。

これについても行政書士が行う相続業務では通常必要のない書類です(ケースによっては必要となる場合もあります)。

残高証明書というのは金融機関に発行を依頼してもすぐに出てくるわけではありません。一般的には数日から1週間ほど待たされます。

ですからこれも相続手続きの中であらかじめ取得しておくと、依頼した税理士の負担が減ることになります。

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職務上請求書の使用は要注意~他士業の業務に使うものは取得NG

なお行政書士も職務上で必要があれば、職務上請求書を使って職権で住民票を取得することはできます。

しかし例えば、相続登記で添付する住民票や住民票の除票は行政書士業務のためではなく、あくまでも不動産の名義変更登記申請に必要となる添付書類です。

そのため行政書士が職務上請求書を使って住民票を取得することはできません。

ちなみに前述の法定相続情報証明制度を利用する場合、その作成は行政書士業務にあたりますので職務上請求書で住民票の除票や住民票を取り寄せることができます。
作成に多少の手間がかかりますが、業務の効率化にもつながりますので法定相続情報証明制度を積極的に活用しましょう。

相続人本人にあらかじめ取得しておいてもらうか、あるいは委任状を書いてもらって代理取得することになります。

もし行政書士業務以外の目的で職務上請求書を使ってしまうと『不正使用』となりますので、最悪の場合は懲戒処分などを受けるといったことにもなりかねません。

こうした点は十分に注意しましょう。

もちろん許認可申請業務などの行政書士業務で添付が必要な場合には、行政書士が職務上請求書を使って職権で取得するのは、何も問題ありません。

ちょっとした気遣いで他士業からの信頼度も上がる

このようにちょっとした気遣いをするだけで、他士業の手間が省けるだけではなく『この行政書士は手続きについてよく知っているな』という信頼感も生まれてくるのです。

ですから自分の行っている業務の中で他士業の方の協力が必要であれば、その申請手続きにどのような添付書類が必要なのか、といったことも少し勉強しておくとよいでしょう。

他士業からの信頼度が上がれば、今度はその他士業から仕事が回ってくるようになります。

紹介案件は労せずして仕事が得られることになりますし、こうした仕事をきっちりと行うことでさらに信頼度がアップするという好循環が生まれます。

もちろん他士業の方なら誰でもいいというわけではなく、相手の他士業が人間的にも実務的にも優秀な方である、というのが大前提です。

上記はほんの一例ですが、新人行政書士でもこのようなちょっとした気遣いで信頼感を上げることができますので、ぜひ優良な他士業との関係を築く努力をしてみてください。