行政書士試験を受験するにあたって、資格予備校などに通っていた、あるいは通信講座などを利用していた方も多いと思います。
こうした資格予備校の中には、合格後の開業準備として、各種の実務講座や開業準備講座といったものを開講しているところもあります。
確かに行政書士として開業するにあたって、実務講座などで開業前に知識を学んでおくこと自体に意味はあるかもしれません。
では行政書士で開業するために、こうした実務講座というものを事前に受ける意味が本当にあるのかどうかを、私自身の勝手な私見から少し考えてみたいと思います。
行政書士の実務は講座で学ぶほど難しいものなのか
まず行政書士の実務は難しいものなのかというと、はっきり言って【一般的な】許認可申請などについては、申請条件がきちんと整っていればそれほど難しいものではありません。
【一般的な】というのは、いわゆる行政書士業務としてメジャーな分野と言われているものです。
特に行政書士業務の中で最もポピュラーな建設業許可申請といったものについては手引きや様式がきちんとありますし、他の許認可申請に関してもほとんど同様です。
しかも手引きや様式などはインターネット上から無料で簡単に入手することもできますし、関連書籍も豊富に出版されています。
昨今の行政書士試験に合格できた方なら問題なし
昨今の難しい行政書士試験に合格できた方であれば、こうした手引きや資料を読み込んで理解することは決して難しくありません。
それだけでもかなりの実務知識を得ることができます。
また各県の行政書士会や支部でも、基本的な研修をテキスト代の実費程度で行っているところが多いので、そうしたものを利用することもできるでしょう。
もちろん行政書士業務はとても幅広いですから、中には専門的な知識が必要で難易度の高い業務というのも存在します。
ただこれも自己研鑽をしっかりと積んだうえで、様々な方面の人脈をしっかり構築できていれば十分に対応は可能だと思います。
実務講座や開業準備講座を受講する必要性は?
これは15年以上実務を行ってきた私の個人的な意見ですが、はっきり言って開業前の方や新人行政書士が、わざわざ高いお金を払って実務講座を受ける必要はないと思っています。
こうした講座の受講を勧めている行政書士の方は結構多いですけどね。
教える側の講師は、確かに実務経験豊富な行政書士かもしれません。
しかし本当に行政書士として日々実務に携わっていれば、そもそも資格予備校で実務を教えるアルバイトしている時間などないはずです。
本業をやっていた方が何倍も儲かるはずですしね。もっとも時給1万円くらいもらえるのであれば話は別ですが。
一日でも早く自己研鑽しながら実務経験を積んでいく方が大事
こう言っては何ですが、実務講座などで教えている講師からよりも、もっと実務経験豊富で経営者として成功している行政書士とお付き合いしている方が、ずっと勉強になります。
ということで、私としてはわざわざ資格予備校に高いお金を払って実務を学ぶよりも、一日でも早く自分で自己研鑽しながら実務を経験し、お金にした方がいいと考えています。
私なら、実務講座や開業準備講座などを受けるお金があるのであれば、もっと事務所を発展させたり営業活動などのために使います。
その方が勉強にもお金にもなりますので。
細かい実務知識は人脈を使って補うこともできる
どうしても行政書士の実務面に不安があるのであれば、まず同業者との人脈を幅広く得ておくことをお勧めします。
例えば行政書士の一般的な業務については、支部内に経験豊富な方が必ずいます。そうした方と親しくなっておくことで、実務の細かい疑問点を聞くこともできます。
支部などの集まりなどに顔を出しておくことで、誰がどの分野に詳しいのかということも分かってきます。
新人行政書士は謙虚に挨拶などをしておけば結構かわいがってもらえるものですし、実務のポイントなども親切丁寧に教えてくれたりもします。
資格予備校に高いお金を払って実務講座や開業準備講座などを受けるより、そうした良い人脈を得るための努力に励んだ方がよほど役に立つのです。
もちろん自分自身で実務知識の自己研鑽を積んでおくことも必要なことは、言うまでもありません。
まずは顧客を獲得するための活動をしましょう
いくら実務や開業準備の知識を得たところで、肝心の顧客がいなければお話になりません。
実務の勉強も大事ですが、新人行政書士が開業してまず行うことは、自分の存在をあらゆるところにアピールして周知してもらうための営業活動です。
先にも述べた通り、実務に必要な知識は高いお金を払って実務講座などを受ける必要などなく、様々な方法を使って自分で得ることができます。
一番の勉強方法は実際に実務を経験すること
何より一番の勉強は実際に仕事をして実務を経験することです。
実務講座や開業準備講座を受けるお金があるのであれば、一件でも多くの仕事を得るための営業活動に使った方がよほど有意義です。
仕事となれば実務を経験できるうえにお金にもなるのですから。
これから行政書士で生活していくのであれば、各方面の人脈を築いたり様々な営業活動をしていかなければなりません。
実務の知識は前述の通り、開業して走り出してからでも十分得ることができます。
集客と自己研鑽は同時に励んでいきましょう
ただし実務知識をインプットする自己研鑽も大事なことですから、決しておろそかにはできません。
実務経験がないのであれば、せめて相談者や依頼者と対等に話ができるくらいの実務知識を頭に入れておくしかないのです。
見込み客の集客と同時に自己研鑽にも励む必要があります。
実務経験のなさを心配するよりも、まずは自己研鑽に励みつつ実務経験をより多く積むための活動を積極的に行っていきましょう。