行政書士として開業すれば分かりますが、行政書士試験の勉強で学んだ知識というのは、一見実務とかけ離れているように感じるかもしれません。
しかし扱う業務にもよりますが、行政書士の実務の中で行政書士試験の勉強で学んだことを活かせる場面というのは結構あります。
行政書士試験で学んだ知識が活かせる、実務上でも主に必須といえるのは、民法、会社法、行政手続法といったところでしょうか。
ただいざ開業してみると『自分にこの仕事ができるだろうか』と不安になることが多々あるかもしれません。
しかし少なくとも行政書士の主要業務である許認可業務に関しては、書類の作成方法そのものについて、手引きなどの名称でマニュアル化されていることがほとんどです。
そして多くの場合、書類を提出する役所の窓口やインターネット上でも入手することが可能です。
実務の知識不足は仕事の中で習得する
手引きには申請要件や根拠法、申請書の記載方法まで、こと細かく書かれています。
実際に申請書を提出する役所が出しているものですから、実務のマニュアルとしてこれ以上のものはありません。
まずは手引きを読み込むことが大前提です。
手引き通りに事が運ばないことが多いことを想定しておく
しかし手引きで書類の基本的な書き方などが一通りわかったからといっても、それだけで仕事がスムーズに運ぶとは限りません。
なぜなら手引きというのはあくまでも模範解答であり、実際に仕事をしてみると手引きに書かれていないイレギュラーなケースというのがほとんどだからです。
そもそも申請をプロの行政書士に依頼するということは、申請にあたって何らかの問題や困難なことがあり、自分で作成することが難しい理由があることが多いのです。
こうしたケースに対応するためには、やはり実務を経験していくしか方法がありません。
あまりにも申請要件が整っていないようなことがあれば、無理なものは無理です、ときっぱり伝えて断ることは当然必要です。
そうした判断ができるようになるためにも、知識を得るための自己研鑽や実務経験を積むことが重要なのです。
とにかく実務を経験することが自分の資産につながる
行政書士の実務では、どこにどのような手引きがあるのか、申請書類に足りないものがあれば代用できるものは何か、書類を作成するにあたって役所とどのように折衝していけばよいのかなど、経験から得られたものが大きな資産になります。
そして、その経験をいかに今後の実務に役立てることができるかが行政書士としての能力であり、お金を稼ぐことができるかのポイントにもなるのです。
実務の経験不足を恐れず、新人らしくどんどん果敢に挑戦して実績を積むことが重要です。
実務経験がないことを恐れない~誰でも最初は経験なし
『そうはいっても、新人なのだからいきなり初めての仕事なんて無理』と思われる方がいるかもしれません。
ただ、実際に業務をやってみないことには、そもそも自分がその分野の仕事に適しているのかどうかもわかりません。
当たり前ですが、ベテラン行政書士もはじめは経験なしからスタートしているのです。
先輩行政書士から話を聞いたり各種の研修会などに参加することでも、ある程度の実務知識は身につくかもしれません。
しかしやはり業務に関する知識をしっかりと勉強したうえで、身をもって仕事を経験することが、行政書士としての資産の蓄積につながっていきます。
自己研鑽のための投資は絶対にケチらないこと
今は、もし業務に関連した専門書が必要であればAmazonプライムや楽天ブックスといったサービスを使えば、早ければ翌日には手に入ります。
またインターネット上でもある程度の情報を手に入れることはできるかもしれません。
いずれにしても専門職である以上は、知識を得るための投資を決してケチるようなことがあってはなりません。
実務経験のない業務に関しても、実務知識を得る方法はいくらでもあるのです。せっかくの実務経験を積むチャンスを逃さないようにしましょう。
補助者経験は特に必要ない~実務知識は自分で習得できる
これから行政書士を目指している方によく聞かれるのが、行政書士事務所での補助者経験はあった方がいいのか、などという点です。
これについては『あっても構わないけど、なくてもまったく問題ない』という程度の話です。
行政書士の一般的な実務知識というのは、近年の難しい行政書士試験に合格できた方であれば、それほど難しく感じるものではありません。
資格予備校などで実務講座などを開講しているところもありますが、私としては基本的にこうした講座を受講する必要性はないと思っています。
実務知識の少なさを不安がるよりも、まずは実務知識を勉強しながら集客して仕事を獲得し、とにかくやってみること。
そこで得た経験と自信が行政書士としてのスキルアップにつながることを心得ておきましょう。