行政書士に限らず、最近では弁護士など他士業でも『無料相談』を前面に打ち出して集客を行っているケースが多々みられます。
無料相談というのは一見、敷居の高い士業の事務所へ足を運んでもらう手段として有効にみえるかもしれません。
しかし明確な目的と戦略がなく、単に『他の事務所も無料だから』という考え方で安易に無料相談を打ち出しても、はっきり言って十分な成果は得られないでしょう。
『無料』というのは事務所経営を破綻させることにもなりかねない、相当なリスクもはらんでいることを知っておくべきです。
無料相談を集客の方法としてお勧めしない訳
行政書士の業務というのは、いわゆる労働集約型の仕事です。
開業当初の一般的な行政書士は一人で相談業務や書類作成、役所への申請などの仕事をこなし、ようやく報酬が得られることになります。
つまり自分の時間を切り売りして利益を出していかなければなりません。
相談業務の間は他の仕事ができませんし、移動中や役所にいる時もまた然りです。
自分の体はひとつしかありませんので。
また行政書士は専門職ですから情報収集や自己研鑽を怠るわけにはいきません。
様々な資料などを読み込んだりする勉強時間というのも必要です。
時間コストを意識しないと大きな利益は出せない
ですから時間コストというしっかりとした考え方が非常に重要になってきます。
確かに無料相談を大々的に打ち出せば、もしかすると相談者は多く集まるかもしれません。
しかしその集まった相談者から、実際に受注につなげるまでの戦略をきちんと立てていないと、時間コストが削られるだけで利益を出すことができません。
相談者はそこそこ集まるのに依頼につながっていかない、タダ働きの時間が増えてしまうだけ、という結果になってしまいます。
言うまでもなく一日の時間というのは限られています。
その限られた時間の中で最大限の利益を出すための仕事ができるかできないかで、儲かる行政書士と『普通の』行政書士の差が出てきます。
無料相談というやり方を明確な戦略なく安易に行っていると、バタバタと忙しいのにまったく儲けが出ないといった、いわば負のスパイラルに陥ってしまうことになるのです。
もし無料相談を有効活用するのであれば
もしあえて無料相談を有効に活用したいのであれば、集めた相談者をそのまま放置することなく、次のアプローチをこちらから仕掛ける必要があるでしょう。
例えば無料相談で個人情報を集めた上でフォローの電話や書面、メールを送付するなどといったように、その後も相談者との接点をできる限り多くすることです。
一般的な企業でも無料サンプルなどを配布して個人情報を集め、アフターフォローをバンバン行うというのは当たり前のように行われています。
行政書士も商売ですから、もし無料相談で集客を考えているのであればこうしたプッシュ型の営業手法を積極的に行っていく必要があります。
できれば無料に頼ることのない集客を目指す
とはいえ無料相談で集めた顧客予備軍に次のフォローを行ったからといっても、それが必ずしも依頼につながるとは限りません。
無料サンプルなどを大量に配るなど物量作戦がとれる企業とは異なり、自分の時間を割いて相談を受けなければならない行政書士は一日でさばける相談者数がおのずと限られます。
だからこそ無料相談というフレーズに頼ることのない集客、やり方を考えていく方向に進むことをお勧めします。
つまり有料でも相談したい、と思わせるような事務所にしていくということです。
具体的にはホームページの内容を魅力あるものにしたり、事務所案内や広告宣伝内容などを充実させることで『お金を払ってもこの事務所に相談したい』という見込み客を増やす戦略です。
でも実績や経験のある行政書士とは異なり、新人行政書士がこうした手法で見込み客を集めるのは難しいのでは、と思う方もいるでしょう。
新人行政書士事務所でも魅力を『演出』できる
今の時代は幸いなことにたとえ新人行政書士であっても、見込み客に対して自分をアピールするための情報やツールといったものが充実しています。
新人行政書士事務所であっても様々な手法をうまく使えば、この事務所にぜひ相談したい、依頼したいといった魅力ある事務所を『演出』できる環境にあるのです。
前述のようにホームページの充実であったり、内容の濃い事務所案内を作成したり、広告宣伝を行う手段も一昔前に比べればかなり低コストで済みます。
相談業務を無料にするのはとても簡単なことです。
ただこれから行政書士として大きく利益を出していきたいのであれば、安易な無料相談での集客に頼るのはとても危険です。
新人行政書士であっても、ぜひお金を払ってでも相談したいという『優良な見込み客』をいかに増やすか、ということに知恵を絞っていきましょう。