これから行政書士として開業するにあたって、多くの方が心配するのが『カネなし、コネなしでも大丈夫なのか』という点だと思います。
確かに、カネもコネも最初からあるに越したことはありません。
しかし、それが行政書士で開業、成功するための絶対条件、というわけでもありません。
実際、私自身も『カネなしコネなし』でいきなり開業したクチです。それでも一応20年近く行政書士を続けてきています。
では、最初からカネもコネもない人は、開業してからどのような活動をしていけばよいのでしょうか。
いくらカネなしでも必要最小限の開業資金は必要です
とはいえ、いくらカネなしでも大丈夫とはいっても、開業資金が0円とか数万円というのでは、あまりにも無謀です。
そもそも、行政書士登録するだけでも30数万円が必要ですから、本当にカネがなければ行政書士登録することさえできません。
そして、行政書士事務所を構えて仕事をするにあたっては、仕事用のパソコンであったりプリンターであったり、鍵付きの書庫などの備品といった、必要最小限の準備は必要となります。
また、実務経験のない新人行政書士が、開業していきなり十分な売上を叩き出すことは難しいですから、当面の生活費や事務所の維持費といった資金は用意しておかなければなりません。
ということで、このような点を総合的に考慮しながら、自分の状況に応じた開業資金を準備しておくことになります。
開業当初から広告宣伝や集客などに経費を使って、できるだけ早く事務所経営を軌道に乗せたいということであれば、やはり最低200~300万円程度の開業資金が必要になってくると思います。
このあたりは『時間を使うか』『お金を使うか』という選択になると思います。
私としては経営感覚というものを早く身につけるためにも、事業に投資するという意識で最初からお金を使うことをお勧めしますが。
もっとも、一般的な起業に比べれば、行政書士という業態は開業資金などたかが知れてます。
200万、300万程度の資金であれば、普通にサラリーマンで働いていた方はもちろん、たとえフリーターであっても開業前に少し頑張って働けば十分に貯めることができますしね。
コネは開業後に仕事をしていれば自然と構築される
一方の『コネ』ですが、これは開業したらすぐに、とにかく人の集まる場所へ積極的に出向いて、どんどん自分を知ってもらうことが重要です。
また、過去に何らかのつながりがあった人には、片っ端から開業した旨の案内状を出すなど、自分が行政書士で開業したことをアピールしておくことも必要でしょう。
要するに、コネというのは最初からなくても、開業してから地道にコツコツと開拓していけば何とかなるということです。
行政書士としてやるべきことをしっかりやって行動していれば、コネとなる人脈は自然とできてくるものではあります。
開業後は業務を獲得する努力をすることはもちろん、とにかく様々な人脈形成にも労を惜しまず取り組んでみましょう。
行政書士で開業するのは難しいことなのか
ということで、行政書士で開業するには一般的な起業と同様、一応多少の資金は必要となります。
ただ、一般的なお店や会社を立ち上げるのに比べれば、必ずしも借入れは必要ありませんし、仕入れ、在庫といったものが必要ではない商売です。
ただ開業するだけならずっと安く済む商売といえます。
一昔前は、紙と鉛筆さえあれば開業できる、なんて言われていたこともありましたしね(もちろん今ではそういう訳にはいかないのは前述の通りです)。
まずは自分の仕事を世の中に知ってもらうことが重要
それよりも問題は、開業当初は事務所の存在や仕事の内容、サービスが世の中にまったく知られていないことです。
ですから、とにかく自分のできる仕事を世の中にアピールし続けていくことが必要になってくるのです。
行政書士試験に合格すれば、登録費用を支払って事務所調査を受けて問題がなければ、一応行政書士を名乗ることができるようになります。
ただ、それで何もせずに仕事が入ってくることはまずありません。行政書士という肩書を得ただけで仕事が入ってくるわけではないのです。
行政書士で開業するには覚悟と行動力が必要
カネがなければ働いてお金を貯めればよいことですし、コネがなければ開業後にコツコツと人脈を広げながら、自分でどんどん営業していけばよいことです。
そういう意味では、本当に必要なのはカネでもコネでもなく『覚悟』と『行動力』といえます。
行政書士も商売である以上、たとえ一生懸命に努力しても、必ず成功するという保証はどこにもありません。これは一般的な商売の起業と何ら変わりないのです。
最初からカネとかコネの有無を心配するよりも、開業後にどうすれば自分の存在をアピールできるのか、どう動けば商売として儲けることができるのかを考えて実践していきましょう。
そうしたところに知恵を絞って行動していくのは、経営者として当たり前のことです。