行政書士は一般的なサラリーマンと違い、営業から業務の受注、書類の作成や手続き、役所や他士業との折衝など、一つの仕事を完結させるために一人で様々な動きをしなければなりません。
開業当初から補助者や事務員などを雇うことができれば話は別ですが、多くの方はいわゆる一人行政書士として開業すると思います。
そこで問題となってくるのは、自分一人で抱えることのできる仕事量は限られる、という点です。
業務を多数抱えていると、どうしても依頼を断らざるを得ないことも出てきてしまう可能性があります。これは経験を積まなければならない新人行政書士にとって大きな機会損失です。
ですから、利益を伸ばすためには、業務を効率化することはもちろん、できるだけ取りこぼしのない受注体制を整えることが重要になってきます。
一人で業務を完結させようとしないこと
では、どのようにすれば業務の効率化を図り、断らざるを得ない仕事を減らしていくことができるのかというと、それは他力を最大限に利用することです。
すべての業務を一人で行うのではなく、例えば分業やアウトソーシングして業務の負担を減らしていくということです。
具体的には、複数の行政書士で業務を分業することや、業務そのものを外注し、自分が行う仕事量の負担を抑えていくということが考えられます。
そのような仕組みを作っておくことで、集客の手を緩めることなく、取りこぼしのない業務受注が可能となるでしょう。
もちろん、一人で全部をやった方が一時的な利益は大きいかもしれません。
しかし、時間コストなどをトータルで考えれば、集客をどんどん行っていき、分業でもっと多くの仕事をこなす方が、効率的に利益を伸ばすことができます。
同業者や他士業と横のつながりを構築する
そのためには、行政書士だけでなく、他士業との横のつながりが大事です。
いわば外注先をできるだけ多数構築しておくことで、せっかく入ってきた業務依頼を取りこぼすことなく、様々な業務に対応することができるようになります。
行政書士業務は広範ですから、十分な実務知識がない業務の相談も少なくありません。
できるだけ多くの業務分野を得意にしている行政書士とつながっておき、アウトソーシング先を確保しておくという方法もとれるでしょう。
また、他士業と密な関係をつくっておくと、他士業の業務範囲にかかる案件もワンストップで対応することができます。結果として相談者の満足度もあがり、受注につながる確率も高くなります。
一つの仕事にかける時間を減らすことで業務を効率化するとともに、自己研鑽や営業に使う時間を確保することができるのです。
次のステップを常に考えておきましょう
経営者として独立開業するからには、ただ漫然と来た仕事をこなすのではなく、どうすればもっと業務を効率化して利益をあげることができるのか、ということを常に考えなければなりません。
そのためには、日々次のステップをイメージしておくことも大切です。
まだ目の前の仕事をこなすことで精一杯の新人行政書士の方には、あまりピンとこないかもしれません。
しかし、いずれ業務に追われてくるようになれば、経営者として事務所の利益を最大化するにはどうすればよいのか、ということを常に考えなければならないときが必ずやってきます。
先述の外注先を確保するといったことは、一つのアイデアに過ぎません。
ある程度経験を積んで利益が出せるようになったら、自分でなければできない部分以外は、補助者を雇って業務を任せるというのも選択肢の一つです。
経営者は利益をあげるために知恵を絞る努力が大切
いずれにしても、自分がさらにステップアップするにはどうすればいいのか、事務所の利益を出すには何をしなければならないのか、ということに知恵を絞っていくのが経営者思考です。
一般の企業でも、どのような仕組みを作って業務を効率化するのか、利益をあげることができるのか、といった経営努力を日々行っています。
経営者である行政書士も同じことです。
行政書士というのはどうしても一人で仕事を抱え込んでしまいがちですが、次のステップを常にイメージしながら、他力を最大限にうまく利用して利益を伸ばしていきましょう。