行政書士の仕事はとても多岐にわたるため、行政書士ができるすべての業務を完璧にマスターすることはまず困難です。
少なくとも私は、すべての行政書士業務に精通している、完璧にこなせる、という方にお会いしたことはありません。
ですから、入り口は狭くなりますが、業務を専門特化することで顧客が分かりやすいよう専門性をアピール必要が出てくるのです。
では、業務を専門特化するメリットというのを考えてみましょう。
見込み客はその道の専門家を求めている~専門性で勝負する
業務を専門特化する最大のメリットは、専門性をアピールすることで『良い顧客』をつかまえることができることです。
ここで言う『良い顧客』というのは、値引き交渉などをしない顧客のことです。
こうした顧客というのは安さや何でも屋よりも、とにかく自分の依頼したい業務について専門性の高さを求めているのです。
行政書士=安い、ということを絶対に売りにしてはいけません。あくまでも専門性の高さと誠実な仕事で勝負すべきです。
安さを売りにしてしまうと、確かに多くの仕事はとれるかもしれませんが、忙しいのに利益が出ないという、倒産する企業と同じ負のスパイラルに突入してしまいます。
ですから、行政書士は専門性を出し、良い顧客を相手にして適正な料金をいただくべきなのです。
価格設定は相場より高めでも構いません
新人行政書士が悩む点としては、どれくらいの報酬設定にすればよいのか、というところだと思います。
これについては、地域などによって相場というのは少し異なりますが、肝心なことはしっかりと利益がとれる報酬を頂くことです。
特に、自分が専門にしようと考えている業務については、綿密に詳細な見積もりを出すことに力を入れる必要があります。
なぜなら、料金よりも専門性を求めている『良い顧客』を相手に商売し、適正な報酬で利益を出すことが重要だからです。
行政書士という仕事は、時間を切り売りして業務を行う商売です。
ですから、安い料金設定では仕事が増えるだけで利益が出ません。自分の体はひとつだけですし、時間は有限ですから、できる限り効率化を追求しなければ成り立たないのです。
専門性をアピールするための方法は
自分の専門性をアピールする方法は様々ありますが、その中でも効果的なのはホームページ(コンテンツ)と名刺、事務所案内などです。
専門特化型のコンテンツが充実したホームページや名刺、事務所案内を作成し、とにかく積極的に専門性アピールすることに尽きます。
もちろん、専門性を積極的にアピールするからには、その分野の徹底した自己研鑽というのも絶対に必要です。それも、この分野なら誰にも負けない、という自信がつくレベルまでです。
そうすれば、ホームページの内容もおのずと専門性が高くなっていきますし、良い顧客を引き寄せることができるようになっていきます。
他の事務所の料金設定は気にしなくてもよい?
相場よりも高めに料金を設定すると、気になるのは他の事務所の料金です。
しかし、相手にすべきは専門性を求めている見込み客ですから、他の事務所の料金を気にする必要はありません。
料金設定というのは、この仕事でどれだけの時間や手間がかかるのか、といったことで決まってきます。これは個々の事務所によって様々です。
ですから、他の事務所の料金はあまり気にすることもありませんし、安さを求めてくる顧客も相手にする必要はないのです。
専門性を高めれば優良な見込み客は必ず見抜いてくれる
繰り返しますが、行政書士は絶対に安さを売りにしてはいけません。行政書士という仕事のステータスを高めるためには、その道のプロとして適正な料金をいただくことが大切です。
新人行政書士であっても、見込み客からみれば立派な専門家です。そして、世の中には価格に関係なく専門性を求める見込み客はたくさんいます。
もっとも、新人行政書士の場合は入ってきた仕事は何でもやるべきです。
しかし、そうした経験を積んでいく中で、いずれは自分の得意な専門分野を定め、業務を専門特化することで業務の効率化を図り、利益を出していくことが求められます。
中途半端な何でも屋を続け、不毛なダンピング競争で負のスパイラルに巻き込まれないよう、とにかく専門性を打ち出して自分の商売を強くしていきましょう。
優良な見込み客というのは、そうした点をきちんと見抜いてくれます。