新人行政書士は営業活動も当然大事ですが、もしメインに据えようとしている業務以外の依頼があった場合、どのように対応するのかが問題になります。
新人行政書士のうちは入ってきた仕事はとにかく何でもやってみるのが大事ですし、そうすべきなのですが、実務経験のまったくない分野というのは不安が大きいと思います。
実務の知識を覚えるためには、もちろん自己研鑽をして勉強しておくことが大前提です。
最低限、行政書士のメジャーな業務に関しては、役所から出ている手引きや関連書籍などで知識を得ておきましょう。
くれぐれも依頼を無条件に断る、などということはないようにしてください。
せっかくの実務経験を積むチャンスを自ら棒に振るようなことがあってはなりません。
そこで初めての案件に対応するためには、どのように実務を学べばよいのかを考えてみたいと思います。
行政書士はとにかく人脈の構築が力を発揮します
よく資格予備校などが実施している実務家講座のようなものを勧めている方もいますが、はっきり言ってそんな高いお金を払ってわざわざ実務を学ぶ必要はありません。
そもそも教える人が行政書士の本業で本当に儲かっているのであれば、資格予備校の講師のバイトなどやっている余裕などないはずですから。
ではどのように経験のない実践的な実務知識を学ぶのかというと、それは経験豊富な先輩を頼ることです。
ただし自己研鑽を怠らずに基礎知識を得ておくことは必要です。
役所から出ている手引きや書籍などにしっかりと書かれているようなことを質問するのは、新人行政書士とはいえプロとして恥ずかしいことです。
それぞれの分野に詳しい優秀な行政書士と『濃い』人脈を構築しておき、困ったときに助けてくれる人をできるだけ多く確保しておくと安心です。
報酬が入るうえに実務ノウハウも身につけられる
例えば仕事を手伝ってもらう代わりに実務の流れやポイントを教えてもらう、というのもひとつの方法です。
もちろん教えてもらう方には報酬の何割かをお支払いすることになります。ここはビジネスですから当然ですね。
それで実務ノウハウを身につけられるのですから安いものです。
たとえわずかであっても報酬が入るうえに、実践的な実務ノウハウを得ることができるのです。わざわざ高いお金を出して資格予備校などに通う必要などありませんよね。
そこで実践的な業務を学ぶことができれば、次回からは自分で自信をもって受注することができるようになるでしょう。
実務ノウハウというのは机上の勉強だけで十分に得られるものではありません。
優良な人脈をできるだけ多く形成しておくことこそ、新人行政書士には必要なことなのです。
どのように頼れる先輩行政書士と親しくなるのか
これは様々な方法がありますが、支部行事などの集まりなどに積極的に参加し、誰がどのような分野を得意にしているのかを把握することが手っ取り早いです。
もちろんすべての先輩が自分の力になってくれるとは限りませんので、交流する中で人間性などもしっかり見極めておきましょう。
比較的大きな支部であれば、ほとんどの業務を得意にしている人をそこだけで見つけることができると思います。
規模の小さな支部に所属している人は、自分が所属している支部だけではなく、もし他支部の人と交流をもつ機会があれば積極的に参加してみるのもよいと思います。
先輩行政書士とはギブアンドテイクの関係を築く
先輩行政書士としても、自分が長年積み重ねてきた貴重なノウハウを新人に教えることになるのですから、自己研鑽という努力もせず教えを乞うというのは失礼です。
最初はタダで親切丁寧に教えてくれるボランティア精神旺盛な方もいるかもしれませんが、そんなことを頻繁に繰り返しているとまず敬遠されます。
行政書士は商売ですから、たとえよく知っている先輩行政書士であっても、そのノウハウを学ぶための対価というのは絶対に必要です。
いくら親しくなったといっても、同業である以上は先輩行政書士も言ってみれば商売敵(しょうばいがたき)です。
新人行政書士は先輩行政書士とギブアンドテイクのビジネス関係を築いておき、どのような業務依頼がきても対応できるようにしておきましょう。
そしていずれは自分が頼れる先輩行政書士になれるよう、自己研鑽と業務に精進してください。