行政書士の仕事はサービス業ですから、常に顧客満足度を念頭に置いておくことが肝心です。
その仕事に満足してもらえれば次の仕事につながってくるかもしれませんし、他の顧客を紹介してくれるかもしれません。
そのためには、依頼された仕事をただ無難にこなしているだけでは不十分です。単なる事務代行屋なら、自分以外にも同業者は星の数ほど存在します。
ですから『この行政書士でなければならない』と顧客に感じさせるために、自分の仕事に何らかの『付加価値』をつける、という考え方が必要となってきます。
行政書士で利益を得るには付加価値が絶対に必要
今の時代、行政書士に依頼を考えている顧客の多くは、依頼する案件について、インターネットや関連書籍などで一般的な情報はすでに得ていることがほとんどです。
ですから、実際に行政書士に相談するころには、すでに多くの予備知識をもっていることが少なくありません。
そこで顧客が求めてくるのは、誰でも答えることができる教科書的な対応ではなく、顧客が持っている情報以上の知識であったり、一般論ではない経験に基づく情報などです。
こうした専門家の『生の』知識や経験が、顧客サービスの付加価値につながっていくのです。
『原則としてはこうですが、実はこんな方法もありますよ』など、専門家として顧客に役立つ情報を提供することができれば、将来的にはその分野における情報通、コンサルタントとしての地位を獲得できる可能性があります。
もちろん、そのためには常に自己研鑽に励み、情報収集をしっかり行っていくことが大前提です。必要な実務知識を得るための資料、書籍代は決してケチってはいけません。
行政書士にとって、実務知識を得るというのは事業の質をあげる設備投資のようなものです。


付加価値を高めることで利益を上げる
付加価値の一例としては、例えば、前職の経験などを生かすなどして、依頼された仕事以外の相談にも対応することができたり、関連する助成金や補助金などに関するアドバイスをしたりと、様々なことが考えられます。
また、必要であれば他士業とコラボレーションすることで、より顧客にとって有益なサービスを提供できるかもしれません。
こうした事例の積み重ねで顧客から仕事を高く評価されれば、単なる事務代行屋ではないポジションを獲得できるのです。
まだ仕事を始めたばかりの新人行政書士には少し難しい注文かもしれません。
しかし、数多くの行政書士の中で、これから自分の事務所に依頼を数多く呼び込むには、顧客に自分の仕事の価値を理解してもらうことが必要不可欠です。
価格競争をしていたら利益は絶対に伸びません
ちなみに、単に依頼を数多く受けたいのであれば、価格を思いっきり安くすれば、多くの人が喜んで飛びついてくるでしょう。いわゆるダンピング、価格競争の世界です。
ただし、このやり方では売上は上がっても利益は絶対に出ません。結果、死ぬほど忙しいのに利益が出ないという、倒産する会社と同じ負のスパイラルに巻き込まれていきます。
そして仕事も雑になるでしょう。その道の行く末は廃業しかありません。


しかし、顧客に自分の仕事の価値を感じてもらうことができれば、価格に関係なく仕事は必ず入ってきます。料金を下げることなく、むしろ高めに設定したとしても、です。
経営者としてどちらがよいのかは明白ですね。
時間をお金で買うという経営感覚に優れた顧客というのは、仕事に対してシビアである代わりに、丁寧で迅速な仕事、サービスを求めています。
そうした『優良顧客』は、決して安さだけに飛びつくようなことはありません。
行政書士の仕事に対して価値を感じてもらい、そうした優良な顧客を増やしていくことが事務所の利益につながっていきます。
顧客に対してどのような付加価値を提供できるのか、もしこれから付加価値をつけて利益を出すには、どのような経験や勉強が必要なのかをとことん追求し、売上よりも利益を出せる行政書士を目指しましょう。