一般的な行政書士の主な業務は各種書類の作成です。
つまり書類の作成代行ということになります。
ですから今でも時々『代書屋』などと言われることもあります。
行政書士の中にも『自分は代書屋』と公言している人もいますが、単に依頼されたことを無難にこなしているだけでは、これからの行政書士は絶対に生き残っていけません。
現にAIを駆使して許認可申請書類を作成する技術は、民間企業がどんどん開発してきています。
当然ながら行政書士に依頼するよりも、はるかに簡単かつ低価格で業務の処理ができる世の中になってきているということです。
では行政書士として今後も生き残るためには、これからどのようなスキルを身につける必要があるのでしょうか。
事務代行屋ではなくコンサルタントになる
行政書士が顧客に一目置かれる存在になるには、書類作成のアドバイスだけでなく、付加価値をつけて評価を上げることが必要です。
例えば会社設立の依頼を受けたら、定款や目的、役員の人選といったところまでアドバイスすることで、いわゆるコンサルタント的な地位を確立できます。
また遺言書の作成業務であれば、財産の調査や評価、親族間の紛争防止といった予防法務についての深いアドバイスができることで、顧客から評価を受けることができます。
行政書士は書類作成だけでなく、そこに何らかの付加価値をつけることで顧客に高く評価してもらうことが重要なのです。
AIといった技術に取って代わられることのない、確固たる地位を構築しなければなりません。


単なる代書屋では市場で勝つことはできない
そしてこうした仕事で顧客から高く評価されれば、顧問としての仕事や、さらに大きな仕事を依頼してくれる、紹介してくれるといったきっかけにもなります。
単なる代書屋では顧客から高い評価を受けることはできませんし、同じ仕事内容と成果物であれば顧客は安い方に流れていきます。これは市場原理として当然のことです。
いずれAIといった技術に仕事を奪われていくのも時間の問題でしょう。
結果として不毛な価格競争に巻き込まれ、市場から淘汰されてしまうことになるのです。
コンサルタントになれば報酬も上げられる
自分の仕事に対して顧客の評価を得られれば、価格競争に巻き込まれることもありません。
顧客に付加価値を評価してもらうことで、逆に報酬を上げることができるからです。
もちろん中には値下げを要求するといった困った顧客もいますが、プロのコンサルタントしてのスキルを高めておけば、そうした顧客を相手にしなくても済みます。
つまりこちらが顧客を選ぶことができる立場になるということです。
行政書士の仕事が高く評価されるには、どれだけ付加価値を評価してくれる優良な顧客と出会えるかが大切なのです。
決して自分の仕事を安売りしてはいけません。安さを売りにしている限り、優良な顧客を獲得することはできません。


メイン業務に関しては徹底的に勉強する
こうした地位を獲得するためには、少なくとも自分がメインに据えている業務に関して、徹底的に勉強、情報収集することも必要になります。
それも自分が事務所を構えている地域の中では、自分が一番その業務に詳しい、といったレベルまでです。
新人行政書士が先輩行政書士よりも一歩先に出るためには、労を惜しまず自己研鑽に励まなければなりません。
経験と実績がない新人行政書士が先輩行政書士と対等に渡り合うためには、実務知識を徹底的に強化するしかないのです。
付け焼刃の知識で仕事に臨んでも、顧客にはすぐに見透かされてしまいます。
開業当初は来た仕事は何でも受けつつも、メインに据えている業務については知識を深め、本物のプロとしての評価を得られるように努力していきましょう。